「週末の人生 カフェ、はじめます」のあらすじ、感想。
小説、ビジネス書、自己啓発。あなたにピッタリの本が見つかる。
~あらすじ~
40代半ば。独身の女性がカフェを始める物語。
ふとしたタイミングで出会ったおばあさんの家が素敵すぎて間借りすることに。
週末を使って、ちょっとワクワクする人生を。チャレンジをする難しさ、楽しさを描いた作品。
40代半ば。独身でマンションも中古で購入。ローンも丁度終わった主人公が新しくチャレンジします。
チャレンジしよう!と思ったきっかけは本当に微々たるもので、たまたま会ったおばあさんの家が素敵で、「この家を残したい」そう思ったところから。
この小説で面白いと思えるポイントは、現実であること。
もちろん、小説の要素は持っていますが、みんなが協力者で「やってみよう!」と前向きになることがないです。
つまりリスクを背負うのは主人公のみ。
開業したり、今までやってなかったことにチャレンジする小説は、往々にして協力者や理解者がいます。もちろん、この小説にも理解者はいるのですが離れたところにいたり、直接的になにか施しがあったりすることはほとんどありません。
内装をお願いする工務店さん選びでさえも、順調に進みません。
カフェが東京では激戦区なのも、聞きます。
面白いな、と思ったポイントのもう一つが、立ち止まれなくなるところです。
思い付きから始めたことですが、誰かを巻き込んで進めた限り、立ち止まって辞めてしまうことが難しくなり、最後の最後まで、悩みながらも進みます。
その悩みも、わかりやすくて非常にいい。そして開業するにあたって「無理だよそんなの」と言ってくる人が沢山現れます。自分自身も「無理かもしれない」そう思ってしまいます。
でも、止まることなく進んでいきます。流れに身を任せているわけではなく努力している。
だけど小説全体の流れは、川の流れのようにそのまま進んでいきます。
この小説自体が、ゆったりすっきりと心の中に入ってくるのはその影響でしょう。
中年が、チャレンジする。
そこにきれいすぎる物語は実はない。
酸いも甘いも経験している方ならわかるでしょうし、実際に主人公のようにチャレンジする人がいたら僕らはなんて声を掛けるのだろう。
もしかしたら、登場人物のように心をえぐる言葉を投げかけるだけになるのかもしれません。
ただ、現実世界で直接言ってくる人って実は少ないんです。
僕もフリーランスになったときに、そう感じました。
「無理だよ」そう直接言ってくる人ばかりなら、どうしよう。
むしろやる気は出てくるのかもしれません。「今に見とけよ」と。
でも直接言わない。陰口は陰で。そんな言葉があるように、実際に言われることはほとんどないんです。
でも、この小説に出てくる嫌味をいう人は、徹底して「一番言われたくないであろうタイミング」に登場し「一番言われたくないであろう言葉」を投げかけてきます。
ちょっと心痛くなる。でもリアルもそうなんだろうな。自分のダメージが蓄積しているときに限ってしんどいことが起きたりするもんですから。
この本は、チャレンジする難しさ、そしてなんとなく行き場のない感情が現れたりします。
是非、読んでみてください。