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本日は寺地はるなさん著の【ビオレタ】の感想を。
~あらすじ~
28歳。婚約していた彼氏にフラれた帰り道、泣いているときに声をかけてくれた女性の店で働くことに。
そのお店の名前は「ビオレタ」。
想い出の、棺桶を販売しているお店。
ビオレタを中心に様々な人と出会い、成長していく物語。
ポプラ社新人賞を取られた作品です。
デビュー作ですね。
「棺桶」と呼ばれる箱を販売しているお店。
そう聞くと、なんとなくおどろおどろしいイメージをしてしまいます。
でも、一切そんなストーリーではありません。
ストーリーは是非読んでみてください。
この物語の軸は、「棺桶」だと思っています。
そもそも棺桶って?
想い出のモノを箱に入れて、庭に埋めていく。モノは無形でもいい。
だからこそ、棺桶。
僕のイメージは「思い出を埋める」という感じ。
記憶を箱にいれ、埋めることで「忘れる」ではなくて、宙ぶらりんの感情に行き場所を作ってあげるような気がしています。
そして、そこのオーナー菫さんは、何も言わず、黙って聞いてくれる。
アドバイスも、助言も、一切せずに、ただ黙って聞いてくれる。
感情の行き場所が見つからないことって、往々にして多いです。
誰かに話が出来ることであれば、誰かに聞いてもらって笑い話にも出来るけど、誰にも中々話が出来ないことは、少なくない。誰しも持っているのだと思います。
じゃあそれを隠しているから本音を話していないのか?
そういったわけではないと思っています。
本音で、ひとと向き合っていてもそういうときは出てきます。
人間関係が人との繋がりだから、そうなりやすい。
だからこそ、この棺桶がある。
誰にも話せない出来事や、誰にも話せない感情を、吐き出せる場所。
自分のやってしまった過ちを、話せる場所。
自分だけじゃなくてもいい。ただ、何かをそのまま話せるのは、すごくいい。
そんな時間を作りだしているのが、ここビオレタという場所になります。
そんなビオレタから生まれる物語は、どこか心がホッとなる。そんな気持ちに。
是非、読んでみてください。