歯のぬけた、尼崎の場末の居酒屋にいるおっさんの魅力【コラム】

僕の住んでいる街、尼崎。
西日本でも有数のゲットーな街。いわゆる「飲む、打つ、買う」が、市内で全てそろってしまう。ボートに競馬もある。
東日本でわかりにくい人は、川崎を思い出してもらうといいらしい。川崎が、尼崎に近いらしい。

まあ、住んでいても怖い思いはしたことがない。たまに空気と戦うおっさんがいるくらいで、襲われたり殴られたり、そんな目にあったことはない。絡まれるなら、梅田の方が多いね。梅田は、東日本なら新橋あたりをイメージしてください。合っているかわからないけど。

尼崎らしさ、といえばやっぱり朝から開いている立ち飲み屋さんだ。(新型コロナの影響で軒並み閉まっているけど、落ち着いたら尼崎中央商店街を歩いてみてね)裏側を知れば、すごくおもしろい。文化や人の流れと合わさっている。
朝から開いている立ち飲み屋がなぜ多いか。尼崎は海岸沿いで工場がとても多い。夜勤がある。夜勤明けの人が、一杯飲んで帰るために、朝から開けているのだ。そういう街の育んできた空気感を感じられるのが、魅力的。

それと同時に、ギャンブルが盛んだから、昼間っから酒をかっくらっている人が多かったりもする。働いているかは、僕は知らないけど。とにかく、街の空気は、そこにいる人たちの生活リズムに合わせて変化するのだ。高級な街にはない、謎の鼻孔をつく香りが、たまらない。

そんな立ち飲み屋さんにお昼間、入ってみよう。あ、因みにこういった立ち飲み屋さんは美味くて安い。お財布にも優しい。いい街だな、尼崎。

入ると早速出現するのは「歯のないおっちゃん」だ。
歯はどこに置いてきたのだろうか。ガハハー!!と大きな声で笑う。そして、なんかの酒を浴びるように飲んでいる。可愛い系のおっさんは、頬っぺたのところが真っ赤になっている。ここは北の国か。きつねでも出てくるんちゃうか。確かに、立ち飲み屋の近くのうどん屋さんにきつねうどんはあるけど。

入って最初は、そんなに仲良くなれるものではない。
ただ、こっちも酒が入ってくると自然と話が出来るようになってくる。

歯のないおっさんは、ほんと魅力的な話を持っている。
昼間から酒をかっくらうそのおっさんから、僕は色んなことを教えてもらった気がする。
昔の仕事の話、遊びの話、なんか色々。

おっさんは、歯の抜けた分、知っているのだ。沢山の人生を、彼は知っているのだ。その深さが、僕ら若輩者にたくさんの経験をくれる。

多分、酒場で教えてもらっていることが多い気がする。
今までのたくさんは、酒場で身に着けていた。飲み会の作法もそうだし、人生の経験、落ち込んだ時の対処法。上手くいったときに、天狗にならないこと。誰かの成功体験を聞くのも勉強になるけど、もはや酔っぱらったそのおっさんたち、いえば人生の魑魅魍魎は、紆余曲折した分、本当に苦労しているから、話が面白くて仕方ない。

さすが、人生の先輩。学ぶことは、多い。

どんなところにも、どんな人にも、沢山の背景があって、その背景は素晴らしいものなんだろうなって思っている。

だから、勉強になる。それが僕の人生のすべて。今でもずっと。

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