これぞ、伊坂幸太郎。ゴールデンスランバー/伊坂幸太郎【小説】

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本日は伊坂幸太郎さんのゴールデンスランバー。ネタバレ無しの感想を書いていきます。

ゴールデンスランバー/伊坂幸太郎

~あらすじ~

「お前、オズワルドにされるぞ」
大学の同級生森田に告げられる。

総理大臣暗殺。その犯人にされた青柳の逃走劇。

「俺に残された武器は、人を信頼することなんだ」極限の状態でも人を信じることが出来るのか。


映画化された作品で、映画から先に見てそのあとに原作見る機会は、多くないんです。

原作ファンで映画を後から見ることは、僕自身に関しては少ないです。そもそもそんなに映画を見ないっていうのもありますが。

伊坂幸太郎さんの作品の映画は、原作愛があるような気がして、世界観を守っていて好きです。
しかしながら、毎回難しい作品を良く映画に出来るよなあと感心してしまいます。ミスリードを誘うように書いている作品をそのまま映画に持ってくるあたりが、原作愛なんでしょうね。

さて、ゴールデンスランバー。この作品は映画を先に見てそのあとに原作を読みました。なのでもしかしたら内容がこんがらがっているかもしれませんのでご了承ください。脳内は黄金のまどろみの中にいるような感じがしてます。

非常に好きでして。伊坂幸太郎さんらしい、さすが!とうなる伏線のちりばめ方。そしてその回収し方ったるや。ハイセンスな小説です。
だからといって、ものすごくややこしいわけではないんですよね。

犯人捜しのための伏線でもない。だから、ものすごく集中して、物語に入り込めずに伏線探しに陥ることもないです。伏線系の小説は、そうなってしまったらおもしろいかどうかじゃなくて伏線探しになって、僕は少しだけ得意ではありませんから。ちっちゃな脳みそしているので。

青柳の逃亡劇。現代版の「逃亡者」ですね。冤罪に仕立て上げてきたのは国家権力なので、一個人の青柳は勝てっこありません。いかに逃げるのか。ここの本筋は伏線で変わっていくものではないので、ハラハラも楽しみながら見ることができます。

この作品の良いところは、人を信頼するっていうところ。
帰るべき場所は、あの頃なんだっていうセリフがありますが、その通り4人組の絆が描かれています。何年も会わない日が続いていたメンバーなのだけど、青柳が「やっていない」のを信じます。そして逃げる手助けをしてあげる。
青柳も疑うことなく、信頼し助けてもらう。この流れって、実は出来ることじゃないよなあ。しかもしょっぱなに森田(大学生のころの仲良しメンバー)に騙されているにも関わらず、その背景も受け止めている。いや、2日間の出来事だから受け止め切れていないかもしれないけれども。

人を信頼するっていうのは、多分大きな武器になる。
どんな状況下でも、それが出来るか、出来ないか。
意外と難しいことだよなあと感じます。

あと、やっぱり伊坂幸太郎さんらしいのは、みんな苗字で呼んで、どことなく親近感感じる所だなあ。どこにでも居そうな人に苗字だから、そこらへんに居そうな人。登場人物みんな。それでも、ひとりひとりキャラ立ちしっかりしてるもんな。ちょっとクサいセリフの言い回しも含めて、「ああ~この人こんなこといいそうだわ!」と思えるんです。

そういったところが、さすが伊坂幸太郎。
そう思えるのが非常に良い小説です。

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