今回は、ヤマシタトモコさん著の漫画、違国日記を取り上げます。
現在、10巻まで発行されていて、連載中の漫画です。
あらすじ
ふと始まる、同居生活。
姉夫婦が事故で亡くなったことで、その娘と同居することになった小説家のお話。
孤独がいいー。
基本的には誰かと生きていくことができない小説家が中学3年生の女の子と同居が開始される。
流れていく日々、通っているのか、それとも通っていないのかわからない心。
日々を生きていく。そんな漫画です。
感想
大嫌いな姉の娘を引き取ることになった、小説家の女性のお話。
どちらかといえば、「娘」視点が多いのですが、どの人が一人称であるのかは読む人によって変わるのではないでしょうか。
どの視点からも、丁寧に描かれる心理描写。
登場人物全員が、ちゃんと息をしているのだな、と感じられる漫画です。
「姉」はいわゆる子どもから見た「大人」。
専業主婦で、ちゃんと料理もしている人。いわゆる「ちゃんとした」子どもから見たら「完璧な」大人。
そんな姉とは折りが合わず、仲違いしていた妹(小説家)。
「ちゃんとした」大人ではないところが、際立って描写されています。
そもそも、ちゃんとした大人ってなんだっけ?
どうすることが、ちゃんと大人なんだろうか?
そんなことを感じられる瞬間が、生活の至る所に散りばめられています。
そして、その小説家は、「決してあなたを踏みにじらない」と宣言します。
「あなたが感じたものは、あなただけのもの」と。
寄り添いはするけど、安易に欲しい言葉は渡さない。
しかし、放たれる言葉の一つ一つは、どこか重みを持たせています。
大人も、悩む。
そして、思春期も、悩む。
どちらも解決する話ではないのだけれども、どちらも、ずっと悩んでいる。
そんな表現が、ありありと書かれています。
そうなんです。
もちろんのことなんだけど、大人だって、悩むんです。
「大人になれば、全部、わかるんじゃないか」そう思っていた子ども時代。
「大人になっても、結局悩むんじゃないか」そう感じた、若かりしころ。
結局、どこが大人で、どこが子どもなのか、分かりませんもんね。
「私は、なりたい私になる!」
「そりゃ、命題だねえ」
そんな言葉を、投げかけても、答えてくれる。
答えはもらえないんだけど、考えるきっかけをくれる。
そんな時間を、読書とともに。
気になった方は、是非。